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"2000年代"リスト
2006.12.01
博多メガネ逆大塚愛論
はじめに
商業路線に迎合しているとか福岡ロックシーンに集中していないとかお怒りの声が聞こえてきそうだ。Jポップに見るロック方法論の一例をまとめてみた。私はJポップファンではない。どんなにヒットしてもモーニング娘や宇多田ヒカルや浜崎あゆみや倖田來未CDを購入しなかった。
いつも長浜ラーメンばかり食べていたが、たまたま東京で塩ラーメンを食べたところ、ダシがグッときいていて美味かった。大塚愛(AO)の曲はそういう感じだ。
私なりの聞き方で、作曲とかアレンジを楽しみながら聞いているのだけど、決してアラ捜ししたり、フレーズのプチコピーしてるとか言ってる訳じゃないので、そこんとこよろしく。矢沢永吉。
大塚愛のアルバム
1st「Love Punch」
「ラブパンチ」ではなく、カクテルのフルーツポンチの感じで「ラブポンチ」。スローなレゲーやスピード感のあるスカなどアレンジに工夫が見られる。このアルバムはこのままで完成しているが、他の女性アーティストをフィーチャーしても似た傾向のアルバムはつくれそう。
普通じゃないんだけど、フツーの女の子が飾らない言葉で恋愛や挫折を歌詞にして歌う。日常生活の日常的な歌詞。あっ、これって私のこと歌ってるみたい。傷ついた女の子への応援歌。サビの部分は高音ファルセットでファンのハートにジャストミート。女子も男子もおじさんもおばさんもイチコロなのです。
(1)−10(1stアルバムの10曲目)「甘えんぼ」などは女子の支持大で、この曲を心の支えにしている子も多いと思う。
2nd「Love Jam」
前作より、さらにアレンジやバックの演奏が強力になり。AO色が確立されている。(2)−1,2のメドレーは圧巻。歌に入る前のイントロだけ聞けば
「これはサンフランシスコかデトロイトのヘビメタバンドの曲だろう。もしかしてパトカーサイレン鳴りっぱなだからNWA風の激悪ラッパーかも」
と思ってしまう。あと曲調が黒いのやボサノバやパンクなんかもある。
六本木のライブハウスで聴けそうなコテコテのブルース「黒毛和牛上塩タン焼735円」。アレンジャーやディレクターのパワーを感じる。同曲のシングル「黒毛和牛上塩タン焼680円」はジャーニーやバッドカンパニーのようなヘヴィーロックに仕上げてある。遊び心満載だ。
バラエティに富んだ曲満載で、思わず彦麻呂風のコメントをしたくなる。ジャケ写真はダムド風というかアクシデンツ風というかちょっとエロティックなイメージがあり、グー。
3rd「Love Cook」
このアルバムではオリジナリティ確立で、もはや他のアーティストが真似できない境地に入った観がある。ポップな曲もあるが、前面に出しているのはアーティスティックでプログレッシヴな曲。(3)−1,2,7は、ペキュリアーな視点の歌詞がユニーク。詩世界がロジャー・ウォーターズとかシド・バレットのような感じだけど、女子の精神世界をしっかり歌い上げている。(3)−6は、尾崎豊がエレアコで演りそうなバラード。コミカルな(3)−8、スカパラ調の(3)−9も新しい試み。
勝手にアンジーを思い出した。
時代が平成になった頃、アンジーは、土曜のとてもいい時間帯の番組で、ダウンタウン、ウンナンの芸人バンドに楽器を教えていた。その芸人バンドには清水ミチコもいた。今では考えられないが、当時はダウンタウンやウンナンも若手。
水戸選手らアンジー軍団が、若手芸人にエレキギターやエレキベースやドラムの手ほどきをするのだ。演奏は覚えてないくらいよろしくないものだった。でも勢いあったな、あの頃のアンジー。
さらにロックの手ほどき企画は発展した。NHK教育でもロック入門講座開講。アンジーが講師。
アンジーのレゲービート、スカビートは、時代の波に乗っていた。
AOの「pretty voice」(1)‐1は、デビューアルバムの1曲目にふさわしい曲だ。強力なギターストロークとヘヴィなリズム隊。男子顔負けのパワフルなナンバー。
よくよく聞くと、スカ風コードストローク主体の曲で、これってアンジーと同じ路線じゃない。ブースカのギターワーク
ンチャ、ンチャ、ンチャ、ンチャ...
それとブースカのベースライン。メジャーコードを、一本、一本弾き降ろすような滑らかさで、音は階段をゆっくり登り降りする感じね。
ブンブン、ブー、ブー
ブンブン、ブー、ブー
ブー、ブー、ブー
ブー、ブー、ブー
やっぱシンプルなスカは不滅ですな。いっぱいいたさ、レピッシュ、クスクスとか。まだラップ系Jポップとかスカパラのいない頃の話。
ヒット曲「さくらんぼ」(1)‐3もスカビートだ。叫べ水戸、踊れブースカと思いながら聞いている。時々ファニーなAOヴォイスのサンプリングが入ってて、TVゲームプヨプヨとかアニメキャラのパチンコ台のようにコミカル。ちょっとコミカルすぎてハロープロジェクト系列に入ってしまいそうだが、そこはなんとか踏みとどまっている。歌声は今のAOとくらべるとずいぶん初々しい。この曲は、AOの地位を決定づけた曲だ。
夢想しました。キッズを。
「Uボート」(3)−5は、かなり楽しめる。「サマータイム・ブルース」な感じのスリーコード。何分か練習したら弾けそう。でも実際はそう簡単には弾けないのだが。
雄々しいブリティシュビート、ユニオンジャックがはためく。キース・ムーンはぶっ飛んでたな。ロジャー・ダルトリーは「ジェ、ジェ、ジェ、ジェ...」とか「コ、コ、コ、コ...」とかドモってたな。ピート・タウンジェントは腕をブンブン回転させてた。キッズ桐明の白いテレキャスはカッコよかったなぁ〜。
「Uボート」の間奏部分はなぜかキッズ「コンプレックス・ヒーロー」の歌詞
Far away, Far away
で歌ってしまいたくなる。きっとアレンジャーは、ブリティシュビートの洗礼を受けた人に違いない。
ドラムがいいねェ。あまりキャパの大きくないライブハウスの音がする。いい意味でドスンバタンと、チャーリー・ワッツのような、多夢時代のモダン倉井のようなドラミング。
こんなヘンな聞き方する人いないと思うけど。博多んもんなら、「Uボート」聞けば多分、この気持ち分かってくれると思う。
モダンドールズ中毒なんです。
低いおさえたノリのベース音。でもしっかりとスイングしている。
バン、バン、バババン、バババン、ババン
そして気だるいギターソロ。モダンの「コンクリート・ジャングル」のイントロはこんな感じかな。歯切れのいい元気なドラム音で
バン、バン、バババン、バババン、ババン
とくれば、モダン「BONNY」のイントロ。健康的です。この応援団の太鼓のようなビートは、モダンの曲の特徴の一つ。
AOの曲にも
バン、バン、バババン、バババン、ババン
で始まる曲がある。「SMILY」(3)-1。この曲を聞きながらモダンを思い出している人もいるのです。イントロの「バババン...」だけが同じなのだが。
AOの「GIRLY」(1)-4はポップでとてもイイ感じの曲。で、この曲のサビはボ・ディドリー・ビート。ロックの典型的なパターン。どのバンドもこのタイプの曲を1曲は持っていると思う。
キッズ「ラフカット・ダイアモンド」、モダン「涙のミラーボール」、アップビート「イミテーション・ラバーズ」、松田聖子「ハートをロック」、シュープリームス「恋はあせらず」など。
かなり昔の話だが、キッズの千葉と桐明がFMの番組中で「ラフカット・ダイアモンド」は典型的なボ・ディドリー・ビートの曲であって、キッズのオリジナルである。と延々と力説してたことを思い出した。
「GIRLY」なんか今にも平山克美が現れてギターソロを弾き始めそうな感じがする。
「GIRLY」は歌詞の譜割というかブレスの位置が、反国語的で、普通は途切れないところで、歌詞が切れていて、今様である。どの部分でブレスをするか、実際に聞いて確かめてみて下さい。
今 あたし あなたのそばにいるコト 確か
曲がった心で音楽鑑賞してます。
80年代の博多の音を渇望している毎日です。心が曲がってしまって、音楽の聞き方もおかしくなってしまいました。
でも今時
大好き。
だ〜い好き。
大好きだよ。
と連呼してくれる人などいない。
それでAOのCDを聞いてその代償としているのか。
おそらくは同棲を始めたばかりの若いカップル。朝の風景。焼いたパンの香り。甘いストロベリージャム。ミルクたっぷりのカフェオレ。AOの曲はそんな恋愛ストーリーに参加した気分にさせる。
後に間違いと分かったが、ヒートウェイヴの「36°5」を、AO風のこの感じで聞いていた。
AOが次にコステロの「ポンプ・イット・アップ」風な曲を作ってくれたら私は一安心。
おわりに
「特上にぎり松」の、大トロとアワビとアナゴとコノシロを食べて感想を言ってた観がある。ウニとイクラとエビとタコはどうなってるのと言われそうだ。でもVelvetzやRoxy Spiderの新譜を待つような気持ちでAOの4枚目リリースを待っている。
姿勢やポリシーは違っているかもしれない。しかしロックをポップに楽しむ気持ちは、佐谷光敏もAOも変わらないと思う。
博多組がんばれ。大塚愛もがんばれ。
(了)
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